新NISAの積立は始めたけれど、引き落としは銀行口座のまま——という方は割と多いはずです。カード払いにするとポイントが付くらしい、とは聞くものの、会社ごとに条件が違って調べ始めると終わりが見えない。この記事では、クレカ積立がそもそも何なのかというところから、順番に整理していきます。

この記事で書くこと
  • クレカ積立の仕組みと、始めるのに必要な設定
  • どんな種類があるのか(主要3社)
  • 知っておきたい注意点と、「結局やったほうがいいのか」への答え

クレカ積立とは何か — 積立の引き落としをカードにするだけ

クレカ積立は、投資信託の積立代金の引き落としを、銀行口座からクレジットカードに変えるサービスです。やることはこれだけで、買う商品も、積み立てる金額も、何ひとつ変わりません

変わるのは1点、決済額に応じてポイントが付くことです。銀行引き落としでは0円だったところに、カード払いにすると数千円分のポイントが乗ってくる。そういう仕組みです。

新NISAのつみたて投資枠は年120万円、つまり月10万円です。クレカ積立の上限もちょうど月10万円なので、つみたて投資枠を満額使う場合でも全額をカード払いにできます

始めるには何を設定するのか

必要なものは3つだけです。証券口座その証券会社に対応したクレジットカード、そして積立の設定

証券会社ごとに使えるカードは決まっていて、好きな組み合わせを選べるわけではありません。ここが最初のつまずきポイントです。

いま持っているカードが対応していない場合は、証券口座とカードをセットで新しく用意することになります。逆に言えば、カードを増やしたくないなら、いま使っているカードが対応している証券会社を選ぶのがいちばん早いです。

設定そのものは、証券会社のサイトで積立注文を出すときに、引落方法として「クレジットカード決済」を選ぶだけです。カード情報の登録が必要ですが、10分ほどで終わります。

覚えておくのは「締切日」だけ

クレカ積立には、毎月の積立設定の締切日があります。この日を過ぎると、その月の設定は翌月以降の買付に回ります。

積立設定の締切ポイントの付与時期
SBI証券 × 三井住友カード毎月10日利用月の翌々月10日頃
楽天証券 × 楽天カード毎月12日積立注文月の15日前後
マネックス証券 × dカード買付月の月末頃

締切日を気にするのは最初の1回だけです。設定してしまえば、あとは毎月自動で買い付けられます。

どんな種類があるのか — 主要な3つの組み合わせ

クレカ積立に対応した組み合わせはいくつもありますが、よく使われているのは次の3つです(いずれも年会費無料のカードで、2026年7月時点の条件)。

組み合わせ還元率条件の決まり方貯まるポイント
SBI証券 × 三井住友カード(NL)0.5%前年のカード利用額Vポイント
楽天証券 × 楽天カード0.5%買うファンドの区分楽天ポイント
マネックス証券 × dカード1.1%〜0.2%積立額のレンジdポイント

SBI証券 × 三井住友カード(NL)

還元率は0.5%。ただし条件があり、前年のカード利用額が 年間10万円以上 でないと、2年目以降は0%になります(入会初年度は条件なしで0.5%)。日常の支払いもこのカードに通す前提の組み合わせです。

楽天証券 × 楽天カード

こちらも0.5%。条件は買うファンドの区分で決まり、年間のカード利用額は問われません。低コストのインデックスファンドはほぼ0.5%の側に入ります(代行手数料が年率0.4%以上のファンドなら1.0%になりますが、あえて高コストのファンドを選ぶ理由は基本的にありません)。

マネックス証券 × dカード

積立額のレンジで還元率が変わります。5万円以下の部分は1.1%、5万円超7万円以下は0.6%、7万円超10万円以下は0.2%。月10万円をフルで積み立てると 合計730pt、ならすと実質0.73% という計算になります。月5万円までに収める使い方なら1.1%と、3つの中では最も高くなります。

上位カード(三井住友ゴールド、楽天ゴールド、dカード GOLD など)を選べば還元率はさらに上がります。ただし年会費や利用条件が絡んでくるので、まずは年会費無料のカードで始めて、積立が習慣になってから考えれば十分です。

ポイントには「もらう」仕組みと「使う」仕組みがある

クレカ積立は「買うときにポイントをもらう」仕組みです。証券会社のポイントはこれだけではなく、もらう仕組みがもう2つと、貯まったポイントを使う仕組みがあります

もらう仕組みの1つ目は、投信保有ポイントです。買ったあと、持っているだけで毎月ポイントがもらえます。マネックス証券は投資信託の月中平均残高に対して最大0.26%(年率)、楽天証券は対象の楽天・プラスシリーズで年率0.017%〜0.053%。SBI証券にも「投信マイレージ」という同種の制度があります。

率は小さく見えますが、クレカ積立が「買うとき」の1回きりなのに対して、こちらは残高が増えるほど効いてきます。長く続けるほど存在感が出るタイプの還元です。

もらう仕組みの2つ目は、経済圏側の上乗せです。たとえば楽天証券では、条件を満たすと楽天市場での買い物のポイント倍率が上がります。証券口座の外側で効いてくるタイプの還元です。

そして「使う」側にあたるのが、ポイント投資です。貯まったポイントで投資信託を買えます。楽天証券は積立注文にポイント利用を設定でき、マネックス証券はdポイント1ポイントから購入に使えます。1ポイント=1円として資産に回せるので、ポイントの出口としては、これがいちばん確実です

私はこのあたりを全部は追いかけていません。クレカ積立を設定したのと、貯まったVポイントをウエルシアで使うようにしたくらいです。全部の制度を使いこなそうとすると疲れるので、無理のない範囲でいいと思っています。

始める前に知っておきたい注意点

クレカ積立の注意点はいくつも挙げられますが、始める前に確認しておきたいのは3つだけです。ここさえ押さえておけば、あとから「そんな条件があったのか」となる場面はほとんどありません。

1つ目:条件の決まり方が、会社ごとにまったく違う

同じ「0.5%」でも、三井住友は前年のカード利用額、楽天は買うファンドの区分、dカードは積立額のレンジで決まります。他社の記事で読んだ条件が、自分の選んだ会社にそのまま当てはまるとは限りません。選んだ1社の条件だけ確認すれば十分です。

2つ目:積立額は、カードの年間利用額に集計されない

これは三井住友カードもdカードも公式に明記しています。つまり積立だけしていても、カードの利用実績は1円も積み上がりません

「年会費が無料だから、とりあえず作って積立専用にしよう」という持ち方は避けたほうが安全です。三井住友カードの場合、日常の支払いを通していないと2年目から付与率が0%になります。月10万円をフルで積み立てても、もらえるポイントはゼロです。

3つ目:そのポイントを、自分が使い切れるか

還元率がいくら高くても、使わないまま消えるポイントは0%と同じです。Vポイントはコンビニやドラッグストアのほか、VポイントPayアプリを通せばVisa加盟店で使えます(Vポイント公式サイト)。楽天ポイントは楽天市場や楽天ペイ、dポイントはd払いやドコモの料金充当が主な出口です。

普段の生活で消化できるポイントかどうか。実際に選ぶときは、ここがいちばん効く判断材料になります。

始めたあとは、気にしなくていいこと

設定さえ終われば、あとは放っておいて構いません。よく話題になる次の2つも、知っておく必要はあっても、気にし続ける必要はないものです。

1つ目:ポイントの付与は遅れる

Vポイントは利用月の翌々月10日頃、楽天ポイントは積立注文月の15日前後、dポイントは買付月の月末頃です。始めた直後は「付いていない」と不安になりますが、付かないのではなく遅れているだけです。

2つ目:条件は改定される

過去に実際、こう変わってきました。

時期誰が何が変わったか
2024年楽天証券・SBI証券とも積立上限が月5万円→月10万円に拡大
2024年11月買付分〜三井住友カード付与率が段階制に改定(それ以前は利用額を問わず一律)
2026年3月〜三井住友カード一部の電子マネーへのチャージが年間利用額の集計対象外に

不利な方向にも有利な方向にも動きます。そのたびに調べ直して乗り換えるのは、正直おすすめしません

NISA口座は1人1つだけで、金融機関の変更は年単位でしか行えません。すでに買った分は移せないため、乗り換えると資産が複数の会社に分かれていきます。管理の手間は、還元率の差より確実に効いてきます。

結局、クレカ積立はやったほうがいいのか

やる価値はあります。ただし理由は「還元率が高いから」ではありません。

最初の設定10分で終わって、あとは何もしなくていいからです。積立の金額も商品も変えないまま、引落方法を変えるだけで、月10万円なら年6,000pt前後、月3万円でも年1,800pt前後が自動的に乗ってきます。やらない理由が特に見当たらない、という種類の話です。

逆に、やらなくていいこともはっきりしています。各社の条件を比べ続けること、改定のたびに乗り換えること、上位カードの損益分岐を計算し続けること。ここに時間を使っても、資産形成の結果はほとんど変わりません。

この記事のまとめ
  • クレカ積立は、積立の引き落としをカードに変えるだけ。買う商品も金額も変わらない
  • 上限は月10万円。新NISAのつみたて投資枠を全額カード払いにできる
  • 主要3社の還元率は0.5%〜1.1%。条件の決まり方が会社ごとに違うので、選んだ1社だけ確認すれば十分
  • 選ぶときの目安は、普段の生活でそのポイントを使い切れるかどうか
  • 決めたら、条件の改定は追いかけなくてよい

積立の目的は資産をつくることで、ポイントを最大化することではありません。おまけは、あったら使うくらいの距離感がちょうどいいと考えています。

そのうえで自分に合う組み合わせを具体的に見たい方は、各社のレビュー記事にまとめてあります。

クレカ積立の前に、新NISAの枠の使い方から整理したい方はこちらをどうぞ。

本記事の数値は2026年7月時点の公式情報をもとにしています。SBI証券・三井住友カード・楽天証券・楽天カード・マネックス証券・dカードのクレカ積立条件は改定される可能性があります。実際にお申込みになる際は、必ず最新の公式情報をご確認ください。